管理職にとって人材育成の難易度が上がっている理由

こんにちは!

 

まーさんです。


本日は前回の続きをご紹介したいと思います。

 

前回は「昔の管理職は人を育てるのが上手だったのか?」というテーマで書きましたが、今日は「今の管理職にとって部下育成が難しくなっている理由」についてご紹介します。

 

▼今回も、前回同様に下記の書籍を参考にご紹介します。

フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書) 中原 淳 (著)

 

 

現在の管理職にとって部下の育成が難しくなっている原因について、中原氏が書籍の中で伝えている原因を3つだけ紹介したいと思います。

 


▼部下育成が難しくなっている原因
1、一人の管理職が抱える部下の人数が増えている
2、管理職就任の突然化
3、管理職のプレイングマネージャー

 


1、一人の管理職が抱える部下の人数が増えている

 

バブル以前と比べ、現在の会社組織はフラットが進んでいると言われます。

私も自社の経営陣や社外の経営者の方々とお話する機会があるのですが、年配の経営者が「昔より経営が難しくなっている。」ということも、お一人ではなく複数人から耳にしてきました。

「顧客のニーズが多様化して、利益を出すためにはトップダウンだけでは難しく、ボトムアップで現場主体の組織が必要だ。」「市場の変化が激しくなり、現場に素早くかつ的確に指示を送らなければならない。」そういった考えを持つ経営者は、階層が多い組織構造を問題視して、階層が少ないフラットな構造に変えていきました。

組織がフラット化され階層が減れば、当然、中間管理職の数も減ります。その結果、一人の中間管理職が抱える部下の数が増えますよね。

皆さんの会社では、管理職(部長や課長)が抱える部下の人数は何名ぐらいでしょうか?

この管理職が直接管理できる部下の人数には、適正な数字があるとされていて「5~7名」だそうです。そして 「スパン・オブ・コントロール (Span of control) 」という研究によれば、その人数を越えて管理するとパフォーマンスが下がるとのこと。

これは私自身のマネジメント経験に照らしても、その通りだと思います。正直、7名も多く感じるぐらいです。「10名と直接育てろ。」と指示されたら「10名の動きを観察するのは無理です。」と答えると思います。

それでも頑張って管理職が部下に近づこうとすると、残業や終業後の飲み会を断ってくる・・・。距離を詰められない・・・。

 

 

2、管理職就任の突然化

 

 今の30代・40代の管理職はマネジメント業務をする準備期間がないままに昇進しています。ある日、急に管理職になるのです。このことを書籍の中で中原氏は「突然化」と呼んでいます。

 それもそのはず、以前の会社の組織構造は縦長のピラミッド型なので、主任・係長・課長補佐とマネジメントの入門編のような役割がありました。これらを超特急で駆け上がったり、ひどい場合は、一般社員からいきなり管理職になったりしています。

 書籍には書いていませんでしたが、後輩を育てた経験が無い方が管理職に突然なるケースも増えていると思います。現在の30代・40代が若手の頃にリーマンショックが起こり、企業が新卒採用を控えた時期がありました。そういった時期に自分より年下の後輩を育てる機会が持てないうちに、管理職になっている方も多く見かけます。

 管理職に求められる役割は、仕事での成果はもちろん、成果を出すためのプロセスで生じる社内調整や人間関係のトラブル対応といった“微妙な”“白黒つけられない”問題の解決です。「自分一人で成果を出す」というルールから「人を通じて成果を出す」というルールが変わります。これは簡単な変化ではありません。人に働きかけ、人と人の間で動き回って成果を生み出すプロセスを十分に経験する前に“突然”ゲームのルールが変わる。これはたまったものではありません。

 

 

3、管理職のプレイングマネージャー

 

これもよく聞くキーワードです。

管理職がプレイングマネージャーになる。これは「マネジャーである中間管理職も、プレーヤーとして成果を求められる」ということです。

私は管理職に昇進してもなお「プレイヤーとしての目標達成」を求められてきたので「管理職とはそういうものだ。」と思っていたのですが、昔は違ったようです。

特に年配の幹部社員の方々と話をすると「君も管理職になったんだから、現場で動きまわるだけでは無くて、会社に残ってどっしり構えなさい。」とありがたいアドバイスをいただきます。先輩方にお話を聞くと「管理職になった後は、一般社員のような目標達成を求められることはなかったんだよ。」と言われます。もしそうだとすれば、マネジメント業務に集中できますよね。

こういった現象を捉えて、中原氏は「プレイングマネジャー」のことを「マネージングプレーヤー(Managing player : マネジメントという役割を担いつつも、プレーヤーである人のこと)」と言います。

こうやって管理職が人を育てる時間が無くなった結果、現場での部下育成(いわゆるOJT)は、下記のような状態になります。

「おまかせ(O)ジョブ(J)トレーニング(T)」

「お前ら(O)自分でやれ(J)頼るな(T)」

「俺に聞くな(O)自分でやれ(J)頼むから(T)」

 

胸が痛い・・・。

でも、自分の気持ちを代弁してくれている気がする・・・。

 

また、中間管理職が成果を求められることで、人材を育てられなくなり、「最初からできる部下に頼りきりになってしまう」という問題を引き起こします。

結果的に、できない部下はヒマになる一方で、できる部下に仕事が集中するようになる。

 

もう、完全に悪循環です。

 

以上3つの理由以外に、「学校教育におけるキャリア教育の浸透」「人材の多様化」「働かないおじさん」 「社内に同世代がいない」「人生の正午」など様々な切り口で、この管理職にとって部下育成が難しくなっている状況を解説してくれています。

 

ただ、こういった状況がある中でも、諦めずに部下育成に励む管理職の方もいるんですよ。

もう、そういった方々は本当に誠実に、真面目に、部下のことを想って精一杯関わります。

 

それでもなお、上手くいかない現実に直面して、「自分には管理職向いていない。」「自分は人を育てる適性が無い。」と真剣に悩んでいる人がいます。

 

そんな人にこそ私は言いたい。

 

「部下が育たない原因は“あなたのせい”(だけ)ではないですよ。」

(管理職の努力も必要です。)

 

 

ということで、今日はここまで。

 

ありがとうございました。